開幕から4試合目にして初めて、きっちりとパスをつないでくる相手と対戦したように思います。湘南ベルマーレは強かった。なるほど、前節で退場者を出しながらも京都パープルサンガに追いついて引き分けただけのことはあります。
試合開始から30分近くの間は、完全に湘南のペースでした。湘南は、攻守の切り替えが速く、小気味いいサッカーをしていました。システムは札幌とまったく同じ3-5-2ながら、マイボールになると逆サイドに大きく振ってゴールに迫っていくという戦術が徹底されており、札幌は押し込まれっぱなし。とりわけ、左サイドの三原廣樹はトイメンの加藤大志のドリブルに手こずり、何もさせてもらえませんでした。
それだけ攻め込みながら得点が奪えない。だから、湘南は、前節まで3試合続けて引き分けなのでしょう。30分あたりから足が止まり始め、マイボールになったときの前線への上がりが明らかに遅くなってきました。逆に札幌は右サイドから砂川誠と岡田佑樹のコンビで二度のチャンスを作り、36分、三原の左CKがファーサイドに流れたところを曽田雄志のオーバーヘッドキック、さらに混戦からこぼれたボールを田畑昭宏が蹴り込んで先制。
その4分後に三原が相手選手と接触して倒れ、担架で退場。交代選手の準備ができないまま、会場の雰囲気がなんとなくぬるくなったところで、湘南GKからのフィードを柿本倫明がヘディングで競りながら前へ流し、高田保則が(たぶん)西澤淳二の脇をすり抜けながら、落ちてくるボールをつま先に当ててぽーんと浮かしてシュート。ボールは、中途半端に前に出ていた藤ヶ谷陽介の頭の上を越してゴールへ。高田の技ありではあるものの、三原の負傷で集中を欠いた瞬間にやられてしまったという点では、やや悔いの残る失点でした。
後半開始から湘南は一気に2人を交代(左サイドの坂本紘司→城定信次、トップ下の金根哲→佐野裕哉)、開始25秒にして高田が右からのクロスをヘディングシュート。さらに2分には左サイドで城定-柿本-佐野とつないでシュート。いずれも藤ヶ谷の正面だったからよかったようなものの、失点していてもまったくおかしくない、完全にディフェンスが裏を取られたシュートでした。
それからしばらくの間は一進一退の攻防が続く中、札幌は三原の負傷というアクシデントで急遽投入された市村篤司が軽快なドリブルと早い動き出しのフリーランニングでボールを受けることによって攻撃の起点になっていました。それに対応すべく、湘南は後半20分に左サイドの坂本を下げてFW戸田賢良を入れ、前節までサイドをやっていた高田が左サイドへ、と、この辺の駆け引きは見ごたえがありました。
札幌が湘南の交代と同じタイミングで(=後半20分)新居辰基を下げて堀井岳也を入れたときは、なんで清野智秋じゃなくて新居なんだ?清野は何もしてないじゃないか?と思ったものでしたが、清野か新居かはともかく、ここから先は、開幕以来サブに甘んじている堀井が意地を見せてくれました。
28分、左サイドをえぐった市村が低く入れたクロス(<そうなんです、パラシオスがいるから入れるなら低いクロスなんです!)に堀井が飛び込んでループシュート(というか、足に当てたらループになったのではないかと思う)、クロスバー直撃。残り10分を切ると試合はもう圧倒的に札幌のペースで、37分には堀井の堀井らしいチェイシングから相手陣内の深い位置でスローインを得ると、堀井スローイン→砂川がフェイントを入れながらドリブル突破、相手GKの前へ絶妙のアーリークロス→前へ出るのを一瞬躊躇したGKがボールをこぼす→こぼれたボールを清野がシュート(しかしあのジョホールバルの岡野を思い出すような打ち上げ花火)。
さらに42分には曽田がドリブルで持ち上がってから、左サイドを駆け上がった市村へロングパス、市村がドリブルで中へ切れ込みペナルティエリアに入ったところで鋭いシュートを放つもGK正面。44分は清野が自ら持ち込んで正面からシュートも前にいた堀井に当たってしまう…と、いつ勝ち越しゴールが決まってもおかしくない、いってみれば第2節の大宮アルディージャ戦の終盤と同じような展開でした。
立ち上がりに湘南の猛攻を受けたことを考えれば、ラスト10分に札幌の猛攻があったとはいえ、引き分けという結果は順当でしょう。ただ、気になるのは、開幕戦を別にして、前半は死んだふりなのか死んでいるのか、とにかくいつも相手にペースを握られていることです。それでいながら、終盤になると長短のパスを織り交ぜたすごく楽しい攻撃(開幕戦では前半に見せたもの)が出てくる。どうしてこれが最初からできないのかな?と思います。それが最初からできるようになれば、今季の3位以内も十分に手の届くものとなるのではないでしょうか。
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